格闘技やラグビー、柔道など、身体がぶつかるスポーツをしている方の中には、「最近、耳が腫れてきた気がする」「練習後に耳が熱くて、見た目が変わってきた」そんな不安を抱える方が少なくありません。
耳の腫れや変形の原因として代表的なのが、耳介血腫です。耳介血腫は、放置すると耳の形が変わってしまうこともあり、早めの対応が大切です。
本記事では、耳介血腫の症状・原因・治療・予防について、耳鼻科の視点から紹介します。
1.耳介血腫とは
耳介血腫は、耳の皮膚と軟骨の間に血液がたまる状態です。耳は薄い皮膚と軟骨でできているため、強い圧力や衝撃が加わると内出血が起こりやすく、血液がたまって腫れが生じます。 スポーツ選手、とくに柔道、相撲、レスリング、ラグビー、総合格闘技など、耳に衝撃が加わる競技でよく見られます。
2.耳介血腫の症状
耳介血腫の腫れは、耳の上半分にふくらみが出ることが多いです。見た目の変化としては、
・耳が丸く腫れ上がる
・青紫色に見えることがある
・時間が経つと黄色透明の色調に変化する
また、自覚症状としては、
・かゆみ、熱感(耳が熱い感じ)
・痛みは軽度のことが多い
ただし、痛みが強い場合は軟骨の感染や炎症を起こしている可能性があり、早めの受診が必要です。
3.原因
耳介血腫は、耳への強い刺激がきっかけで起こります。主な原因としては、
・相手や道具に耳を強く押しつける
・組み手やタックルで耳をこすられる
・打撃や衝突で耳を打つ
こうした刺激で耳の皮膚の下が内出血し、血液がたまって腫れが生じます。 繰り返し血腫ができると、耳の軟骨が壊死したり線維化することで変形し、
いわゆる「カリフラワーイヤー」、「餃子耳」と呼ばれる状態になることがあります。
4.当院で行っている治療
耳介血腫は、腫れの程度によって治療方法が異なります。
● 軽度の場合
腫れがごく軽い場合は、自然に吸収されることもあります。
ただし、自己判断で放置すると悪化することがあるため、医療機関での確認をおすすめします。
● 血腫を抜く治療
腫れが強い場合は、血液を取り除く必要があります。
当院で行う治療
・腫れた部分に細い針を刺し、血液を抜く
・血を抜いた後、ガーゼなどで圧迫して再び血がたまるのを防ぐ
血腫は再度たまりやすいため、通院でガーゼ交換を行います。
● 血腫除去手術が必要な場合
血液が内部で固まってしまうと、針では抜けません。
その場合は、皮膚を小さく切開して血腫を取り除く「血腫除去手術」が必要 です。
※この処置は当院では行っていないため、必要に応じて高次医療機関をご紹 介します。
5.日常生活での注意点
耳介血腫は、予防と再発防止がとても大切です。
● 発症予防
・耳に強い刺激を与えない
・スポーツ時はサイズの合ったヘッドギア・ヘルメットを使用する
・練習後に耳の違和感があれば早めにチェックする
● 治療後の注意
・数日間は運動を控える
・耳を押したりこすったりしない
・痛みが強くなる、赤みが増えるなどの症状があれば早めに受診する
感染を起こすと耳の変形につながるため、経過観察が重要です。
6.まとめ
耳介血腫は、格闘技やラグビーなど耳に衝撃が加わるスポーツで起こりやすい耳の腫れです。放置すると耳の形が変わることもあるため、早めの診察と適切な治療が重要です。耳の違和感や腫れが気になる場合は、受診をご検討ください。
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