突然の鼻血に驚いた経験はありませんか? 鼻血は多くの場合、正しく対処することで自宅でも止めることができます。

 一方で、なかなか止まらない鼻血や、何度も繰り返す鼻血の中には、鼻の病気や全身の病気が隠れていることもあります。

 ここでは、鼻血が出たときの正しい対処法から、耳鼻咽喉科で行う診察・止血処置、受診をおすすめするケースまで、耳鼻咽喉科の視点からわかりやすく解説します。

鼻血はどこから出る?

 鼻の粘膜には多くの血管が走っています。これらは主に外頸動脈系・内頸動脈系の血管から分岐し、鼻の前方では複数の血管が吻合しています。 この血管が集まる鼻中隔前方の部位を「キーゼルバッハ部位」といい、鼻血の好発部位になっています。

                  

鼻血が出たら、まずは落ち着いて

 鼻血が出ると、反射的に上を向いてしまう方も多いと思います。 しかし、上を向くのはおすすめできません。血液がのどへ流れ込み、飲み込んでしまうことで、気分が悪くなることがあります。 鼻血が出たときは、次の方法で対応しましょう。

① 前かがみになる

  顔をやや下向きにして、軽く前かがみになります。のどに流れてきた血液はできるだけ飲み込まず口から吐き出してください。

② 小鼻をつまんで10分ほど圧迫する

  鼻の柔らかい部分(小鼻)を指でしっかりつまんで圧迫します。途中で「もう止まったかな?」と指を離して確認すると再び出血することがあるため、   

  10分間は中断せずに圧迫することが大切です。

③ 冷やすと勢いが弱まります

  鼻や頬を冷やすと血管が収縮し、止血しやすくなります。 保冷剤や冷たいタオルを当てるだけで十分です。

※ティッシュを鼻の奥まで詰めるのは避けましょう

 鼻血が出ると、ティッシュペーパーを丸めて鼻の穴に詰める方もいらっしゃいます。しかし、ティッシュを鼻の奥まで詰める方法は、基本的にはおすすめしません。その理由としては、

  ・ティッシュが出血部位に当たっていない場合がある

  ・ティッシュ自体の圧迫効果が弱い

  ・鼻の奥に入り込んでしまう可能性がある ためです。

 があります。

受診したほうがよい鼻血

 以下のような場合は、耳鼻咽喉科での診察をおすすめします。

  ・10〜15分小鼻を圧迫しても止まらない

  ・何度も繰り返す鼻血

 鼻血がなかなか止まらない、あるいは繰り返す場合には、次のような原因が隠れていることがあります。

  ・鼻の奥から出血している

    鼻血は、鼻の入り口に近い部分(キーゼルバッハ部位)から出ることが多い一方、鼻の奥から出血している場合もあります。

    鼻の奥は小鼻を圧迫しても十分に圧迫できないため、出血が止まりにくいことがあります。

  ・高血圧や薬の影響

    高血圧がある場合や、抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)などを服用している場合は、鼻血が出やすくなったり、出血した際に止まりにくくな  

    ったりすることがあります。

  ・鼻の中に病気がある  

    鼻腔や副鼻腔などに炎症や腫瘍性病変などがあると、鼻血を繰り返すことがあります。

  ・生まれつき血管に異常がある     

    稀ではありますが、オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)など、生まれつき血管に異常がある病気では、鼻血を繰り返すことがあります。  


      鼻血が続いて心配な場合は、耳鼻咽喉科を受診し、出血している場所や原因を確認することをおすすめします。

耳鼻咽喉科ではどのような診察をする?

 鼻血で来院された患者様に対して、耳鼻咽喉科では以下のように診察を進めます。

➀鼻腔内の血液の除去  

  来院された時点では、鼻腔内に血液が溜まっていることが多いです。

  まずは、診察できるように鼻腔内に溜まっている血液を除去します。

➁出血部位の確認  

  鼻鏡を用いて鼻腔内を観察し、出血源を確認します。特に、キーゼルバッハ部位からの出血がないかを確認します。  

  同時に、鼻腔内に腫瘍などの病変がないか、確認できる範囲で観察します。

  出血が継続する場合には、薬剤を染みこませたガーゼなどを用いて止血処置を行い、出血の勢いを弱めてから観察を行うことがあります。

➂内視鏡を用いた精査

  鼻鏡だけでは出血源を特定ができない場合には、内視鏡を用いて、鼻の細かい部分や上咽頭など、より詳しい範囲を観察することがあります。

➃(必要に応じて)画像検査

  診察や内視鏡検査の結果、鼻腔・副鼻腔の病変などが疑われる場合には、 症状や経過に応じてCT検査などの画像検査をご提案することがあります。

耳鼻咽喉科で行う鼻血の止血処置

 出血部位や出血の程度を確認したうえで、状態に応じた止血処置を行います。

➀鼻の前方からの出血

 (1)電気焼灼(バイポーラー)  

   出血している部位を確認できる場合には、電気による焼灼で止血する方法があります。

  「焼灼」と聞くと不安になる方もいますが、短時間で終わる処置で、局所麻酔を行ってから処置するため、痛みに配慮しながら行います。必要な場合に

   のみ行いますのでご安心ください。

 (2)ガーゼによる圧迫止血

   出血源をガーゼなどで圧迫し、止血する方法です。ガーゼはしばらく留置させるため、軟膏を塗り込んだものを使用します。

 (3)止血剤(サージセルなど)による止血  

   出血量や出血部位によっては、止血材を使用することがあります。ガーゼによる圧迫止血が適している場合もあれば、止血材が適している場合もあ

   り、出血の状態に応じて選択します

➁鼻の奥からの出血

  鼻腔の奥は、出血している血管を直接焼灼することが難しい場合があります。そのため、出血部位や出血量に応じて、ガーゼなどによる圧迫止血

  止血を用いた処置を検討します。

➂出血源を特定できない場合

  鼻血の量が多い場合や、鼻腔内に血液が多く残っている場合には、出血源をすぐに特定できないこともあります。

  その際に処置を行わずに様子をみることもありますが、何かの刺激によって再度鼻血が出ることもあります。その際には、鼻腔内全体にガーゼを挿入し

  て圧迫止血を行うことがあります。

鼻血を繰り返さないための生活のポイント

 鼻血を繰り返す方は、鼻の粘膜にできるだけ刺激を与えないことが大切です。

  ・鼻を強くかまない

  ・鼻をいじらない

  ・鼻の乾燥を防ぐ

  ・塩分の摂り過ぎを避ける(血圧が上がる可能性があります)

  ・アレルギー性鼻炎など、鼻の病気がある場合は適切な治療を続ける

 ※ただし、これらに気をつけていても鼻血が出ることはあります。

  鼻血を繰り返している方や、鼻血について心配なことがある方は、耳鼻咽喉科で一度ご相談ください

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