耳や鼻に異物が入ると、痛み・詰まり感・音の違和感などさまざまな症状が生じます。豆やビーズ、ボタン電池、昆虫、磁石など異物の種類によって危険性は異なり、放置すると組織障害が進行することがあります。
異物が入った可能性がある場合は、早めに耳鼻咽喉科で確認することが重要です。
1.耳や鼻の異物は身近なトラブルです
耳や鼻の異物は、特定の年齢層に限られた問題ではありません。耳や鼻は狭く、入り口しかないため、一度入り込むと自力での除去が難しく、主に以下のような状況で発生します。
・お子さま
好奇心から鼻や耳に小物を詰めてしまうことが多く、ビーズ・豆・紙片などが典型的です。
乳幼児では保護者が気づかないまま時間が経過することもあります。
・ご高齢の方
薬の袋や小物を扱う際に誤って入れてしまうことがあります。
認知機能の低下がある場合、異物であるという認識がなく飲み込んでしまうこともあります。
・成人
ふざけて入れて抜けなくなるケースや、キャンプ場などで就寝中に昆虫が入り込むことがあります。
耳栓や綿棒、補聴器の部品が破損して耳の奥に残ることもあります。
2.早めの受診が必要となる異物(危険性の高いもの)
異物の種類によっては、短時間で粘膜障害や壊死を起こすものがあります。以下は特に注意が必要です。
・ボタン電池
放電による化学的損傷やアルカリ液の漏出で、粘膜の壊死が短時間で進行します。
耳に入った場合も同様に危険で、外耳道や鼓膜の壊死を起こす可能性があります。特に鼓膜に接触している場合は緊急性が高いです。
・昆虫
耳の中で動くことで強い不快感や痛みが生じ、鼓膜損傷のリスクがあります。
鼻の場合も刺激による痛みや炎症を起こすことがあり、耳鼻科ではまず昆虫を動かなくする処置を行い、安全に摘出します。
・磁石
複数個が鼻の左右に入ると鼻中隔を挟み、強い圧迫や血流障害が起こり、壊死や穿孔につながります。
近年は玩具に使用されることが増え、小児の鼻異物として増加しています。耳でも複数個が外耳道内で互いに吸着すると、皮膚損傷や摘出困難を招きま
す。
・高吸収性樹脂(ポリマー)
おむつや消臭ビーズに使われる素材で、水分を吸収すると数十倍に膨張します。
鼻腔内で膨張すると閉塞や壊死、場合によっては呼吸障害を引き起こします。 耳に入った場合も外耳道を塞ぎ、炎症や感染の原因になります。
・鋭利なもの(枝・鉛筆など)
外耳道だけでなく鼓膜や中耳を傷つける可能性があります。めまい・耳鳴り・難聴がある場合は深部損傷が疑われます。
鼻でも粘膜損傷や出血を起こし、深部に達すると副鼻腔の炎症や感染につながります。
・食物(豆類など)
鼻腔内では水分を吸収して膨張し、摘出が困難になることがあります。長時間放置すると腐敗し、悪臭・炎症・二次感染を引き起こします。
耳に入った場合も同様に膨張や腐敗による炎症を起こすことがあります。
3.自分で取り出そうとするのは危険です
異物が見えない位置にある場合、無理に取ろうとすると奥に押し込んでしまうことがあります。 特に鼻異物は、奥に押し込むと気道へ落ち込み、窒息の危険があります。耳異物では、誤った器具を使うことで鼓膜を傷つけることがあります。
インターネット上には「自分で取る方法」が紹介されることもありますが、誤った処置は重大な事故につながるため避けてください。
ただし、昆虫に関しては、生きて動かれると損傷につながるため、昆虫の入った耳が上を向くような姿勢にして、耳の穴にオリーブ油、ベビーオイル、食用油など普段の生活で使用しているオイルを入れてください。量は耳よりオイルの液面が見えるまでです。その状態で10分ほど待機し、虫を窒息させて動きを止めます。
4.耳鼻科で行う異物の診察と処置
耳鼻咽喉科では、異物の種類や位置に応じて安全に摘出するための専門的な手順を踏みます。
① 視診:
耳鏡や鼻鏡を用いて異物の位置・種類を確認します。
② 内視鏡での確認:
異物が奥にある場合、内視鏡で状態を確認します。粘膜の損傷や感染の有無も評価します。
③ 専用器具での摘出:
異物の種類に応じて、鉗子・吸引器・鉗子付きファイバーなどを使い分けます。昆虫の場合は、まず動きを止める処置を行います。
④ 損傷の評価:
鼓膜や鼻粘膜の損傷がないか確認します。必要に応じて抗生剤等を処方します。
⑤ 経過観察:
炎症や感染のリスクがある場合は、治療薬を処方して、後日の再診をお願いすることがあります。
5.まとめ
耳や鼻の異物は、お子さまからご高齢の方まで、誰にでも起こり得る身近なトラブルです。
異物の種類によっては緊急性が高く、無理に自分で取ろうとすると危険な場合があります。
違和感が続く、痛みがある、異物が入った可能性があると感じた際は、早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
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