患者様の中には、以前からずっと「のどの違和感が続いている」「痰が絡まっている」といった症状があるにもかかわらず、耳鼻科を受診しても「特に異常はない」と言われてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした症状の中には、慢性上咽頭炎が関わっている場合があります。今回は、慢性上咽頭炎とその治療法であるBスポット治療(上咽頭擦過療法)についてご説明いたします。
そもそも上咽頭ってどこ?
上咽頭とは「鼻の奥で、のどの最も上の部分」、つまり「鼻とのどの合流部位」にあたります。頭部に近い場所で、自律神経の中枢にも近接しています。 この上咽頭は構造上、次のような特徴があります。
・鼻の奥にあるため、風邪などで鼻が詰まると空気が通りにくくなる
・食べ物や飲み物は通らず、口呼吸の空気も直接は通らない
そのため、上咽頭はどうしても「淀みやすい」場所といえます。
慢性上咽頭炎ってどんな病気?
一般的な風邪やインフルエンザ、コロナなどの感染症の際、鼻やのどに炎症が広がり、上咽頭も一時的に炎症を起こすことがあります。
通常はその後自然に治まりますが、なかには炎症が完全に治りきらず、軽い炎症が持続してしまうことがあります。
このような軽い炎症が持続している状態では、強い痛みなどは出にくい一方で、軽度ながら長く続く不快な症状が現れることがあります。
この状態のことを、慢性上咽頭炎といいます。
慢性上咽頭炎の主な症状
【1】上咽頭の炎症による症状
・後鼻漏:鼻水がのどに流れる感覚が続く
・頭重感:頭が重いような不快感 のどの違和感
・咳:頻度は多くありませんが、起こる場合があります
・耳閉感・耳鳴り:耳とつながる「耳管」が炎症で狭くなることで起こる場合があります
【2】全身への症状
上咽頭の近くにある自律神経に炎症が波及したり、炎症を知らせる物質(サイトカイン)が血流に乗って全身に作用することで、全身に症状が出ることが
あります。
・慢性的な疲労感
・集中力の低下
・不眠
・動悸
・腹部不快感・下痢
・不安感・抑うつ
慢性上咽頭炎の診察
上咽頭に炎症があるかどうかは、内視鏡で直接観察して確認します。
症状の経過に加え、上咽頭の赤みや腫れ、汚れの付着などの所見から慢性上咽頭炎を診断します。
Bスポット治療(上咽頭擦過療法)とは
慢性上咽頭炎は「感染後に生じた炎症が完全に治りきらずに残ってしまった状態」です。
自然に治りにくいこの状態に対して行うのが、Bスポット治療(上咽頭擦過療法)です。この治療法は、鼻や口から綿棒を入れ、炎症を抑える薬剤を上咽頭に直接塗布し、 同時に擦過する方法です。
治療により期待できる効果
【1】薬剤による直接的な炎症の鎮静作用
薬を直接上咽頭に塗布します
【2】擦過による刺激
・細かい傷をつけることで、体の治癒反応を促します
・周囲のリンパや血流の改善に寄与するとされています
【3】瀉血作用
擦過時に出血をきたし、出血と共に全身に影響をおよぼしていたサイトカインも出ていくことで症状の軽減につながるとも言われています。
【4】自律神経への作用
上咽頭周囲の自律神経(迷走神経など)を刺激することで全身的な症状の改善につながる場合もあります
治療の注意点
・効果の表れ方には個人差があり、すべての患者様に効果があるわけではありません。
・処置の際にはしみるような痛みや、少量の出血を伴うことがありますが、通常は一時的です。
・1回で完結する治療ではなく、症状が強い場合は週1回程度、継続して行うことが望まれます。
慢性上咽頭およびBスポット療法に関して何かあれば お気軽にご相談下さい。
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