車・船・飛行機などで体が揺れ続けると、個人差はありますが、乗り物酔いを生じる方がいらっしゃると思います。

 ここでは、どうして乗り物酔いが生じるかをまとめてみたいと思います。

体の平衡感覚(バランス)はどうやって保たれる?

 私たちの体では、    

  ・視覚(空間の中で自分がどの位置にあるか)    

  ・内耳(三半規管、前庭)    

  ・深部感覚/位置感覚(筋肉や関節の位置情報から自分の体の傾きを感知する)   

 から平衡感覚の情報を入手し、中枢神経系(脳・小脳)情報の統合・制御が行われております。

        

乗り物酔い(動揺病)はどうして起こる?

 上記にあるように私たちは、視覚、内耳(三半規管、前庭)、深部感覚(位置感覚)から平衡感覚の情報を入手しています。  

 車・船・飛行機に乗っている間、程度の差はありますが、この情報は常に変動しています(船が波で揺れている状態をイメージすると分かりやすいと思います)。

  【1】視覚  

    ・近くを見ると、激しく動いて見える  

    ・遠くを見ると、景色があまり動いていない と感じます

  【2】内耳(三半規管、前庭)    

     波などの揺れを常に感じ取ります

  【3】深部感覚(位置感覚)

     揺れによる体の微妙な動きを検知します

 この揺れの情報が中枢神経系にリアルタイムに送られてくることで、「常に直近の情報と異なる」ことが「違和感(感覚の不一致)」として伝わり、自律神経が乱れて吐き気やめまいが起こります。これが現在もっとも有力な説明とされています。

どんな症状が出る?

 症状は人によってさまざまですが、次のようなものがよく見られます。

(1) 平衡感覚による症状

  ・めまい、ふらつき

(2) 自律神経による症状

  ・吐き気、嘔吐

  ・冷や汗

  ・顔色が悪くなる

  ・頭が重い、軽い頭痛

  ・倦怠感・集中力低下

 多くの場合、揺れがなくなると、数時間以内に自然に回復します。

なりやすい人・状況

 乗り物酔い(動揺病)は、変動する視覚、内耳(三半規管、前庭)、深部感覚(位置感覚)中枢神経系(脳、小脳)が情報をうまく統合できない状況で起こりやすくなります。そのため、

  ・睡眠不足・疲労・空腹・満腹

  ・不安・緊張

  ・車内でスマホ・読書など「視線が固定される」状況  

 以上のような、中枢神経系視覚情報が十分に活躍できない場合に症状が出やすくなります。

予防のポイント

(1) 乗り物に乗る前に

  ・十分な睡眠をとる

  ・空腹・満腹を避ける

  ・脂っこい食事・飲酒を控える

(2) 乗っている間に

  ・遠くの景色を見る

  ・頭をなるべく動かさないようにする

  ・換気をよくする

  ・バスなら前方、船なら中央など「揺れの少ない席」を選ぶ

(3) 予防という意味で

   繰り返し刺激を受けることで「慣れ」が生じることがあります。

   たとえば、ジェットコースターが苦手だった人でも、何度か乗るうちに以前ほど酔わなくなった、という経験があるかもしれません。

薬で予防・軽減するには?

 必要に応じて、抗ヒスタミン薬(トラベルミンなどの酔い止め)が役立ちます。

 ただし、眠気・口の渇きなどの副作用があるため、

   ・危険作業

   ・服用後の運転

 は避けた方がいいです。妊娠中・授乳中・緑内障・前立腺疾患のある方は医師にご相談ください。

※抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎などでも使用されますが、それらで使用している第2世代の抗ヒスタミン薬は脳への作用が抑えられているため、乗り物

 酔い(動揺病)への効果は限定的になります。

まとめ

・乗り物酔い(動揺病)は、視覚、常に変化する内耳(三半規管、前庭)と深部感覚(位置感覚)の情報と中枢神経系(脳、小脳)の情報の統合・制御不良で生じるとさ

 れています。

・遠くを見る(視覚の影響を抑える)・頭を動かさないように注意するなどで症状を緩和できる場合があります。

・必要に応じて酔い止め薬も有効です。

                       お困りの際には、是非ご相談ください。

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