皆さまは耳の働きについてご存じでしょうか?「音を聞くための器官」というのはご存じの方も多いと思いますが、実は耳には、身体のバランスを保つ「平衡感覚」をつかさどる大切な役割もあります。 また、お子さまが耳の痛みで耳鼻科を受診されたとき、「中耳炎ですね」などと言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。「中耳炎」という言葉は聞いたことがあっても、そもそも「中耳とはどこなのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は耳の構造に関して、非常に簡易的にではありますが、まとめたいと思います。
外耳、中耳、内耳とは?
耳は大きく 「外耳」「中耳」「内耳」 の3つに分かれ、それぞれが役割を分担しています。
① 外耳 ― 音を集める場所
外に出ている耳(耳介)から耳の穴(外耳道)、鼓膜までの部分を外耳と言います。ここでは、周りの音を集めて鼓膜へ届ける役割があります。
・耳介により耳の周りに届いた音(空気の波)を効率よく外耳道に送ります(集音効果)。
・左右の耳介は、音が届くまでの時間差や音の強さの差により、音の方向をつかむ役割もあります。
・外耳道に送られた音が反響しながら鼓膜に届き、鼓膜を振動させます。
※音が共鳴することで、音圧増幅効果も備えています。
・外耳道は個人差がありますが、少し曲がっていて、鼓膜を守る構造になっています。
② 中耳 ― 音を大きくして内耳へ伝える場所
鼓膜の奥にある小さな空間です。
(1) ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という3つの小さな骨(耳小骨)が鼓膜から内耳までをつないでいます。
耳小骨は体の中で最も小さい骨ですが、物理学的に、届いた音(鼓膜の振動)を効率よく内耳へ伝えます。
・鼓膜の振動を耳小骨が受け取り、骨の振動として内耳へ伝達する
・鼓膜の広さと最後のアブミ骨の面積が17:1と小さくなることや、耳小骨の連結角度により、物理学的に音圧増幅効果があります。
(2)中耳には、鼻の後方(上咽頭)とつながる耳管があります。
・耳管を介して鼻と通じることにより、中耳の圧管理を行います。
(飛行機に搭乗している最中に耳閉感があり、つばを飲み込むと改善する体験はあるかと思います)
・風邪などで鼻に感染症を生じた際に、この耳管を伝って中耳に感染が広がることで中耳炎が生じます。
③ 内耳 ― 音を電気信号に変える場所、平衡感覚を司る場所
中耳の奥にある内耳には、
(1)聴覚に関与する蝸牛があります。
・蝸牛の中には「有毛細胞」という音のセンサーが並んでおり、中でも内有毛細胞という細胞が反応することで音が感知されます。
・大きな音を長時間聞くと、この有毛細胞が疲れたり傷ついたりして難聴の原因になることがあります(騒音性難聴、イヤフォン難聴など)
・感知された情報は、電気信号に変えられ、神経(蝸牛神経)から脳へ送られます。
(2)平衡感覚に関与する前庭、三半規管があります。
・前庭では、直線加速度を感知します。水平方向・垂直方向に力がかかった際に移動を感知するために存在します。
歩行や電車移動、エレベーターなどの移動を感知します。
・三半規管では、頭部に回転性の力を感知します。
ベッドから起きたり、横になったりといった直線ではない移動を感知することができます。
・これらの情報は、前庭神経を介して脳に送られます。
聴覚は外耳から脳まで
耳の聞こえは、音を集める → 鼓膜の振動 → 耳小骨の振動 → 蝸牛で感知 → 電気信号に変換/蝸牛神経 → 脳で理解するという流れで働いています。
この経路のどこか一つでも調子が悪くなると、「聞こえづらい」「耳が詰まる」「耳鳴りがする」などの症状が出ることがあります。
平衡感覚は内耳から脳まで
平衡感覚は、直線方向の移動/前庭、回転方向の移動/三半規管を感知 → 前庭神経 → 脳で情報を処理するという流れで伝わっています。
耳が原因のめまいでは、内耳全体の問題か三半規管や前庭神経など局所の問題かにより、めまいと聞こえの症状があるか、めまい症状のみかなど差が出てきます。
※めまいの原因としては、他にも中枢性めまい(脳のめまい)や起立性低血圧な ど耳以外の原因も存在します。
まとめ
耳は「音を聞くための器官」というイメージが強いですが、実際には、音を聞く働きと身体のバランスを保つ働きの両方を担っています。
外耳・中耳・内耳がそれぞれ連携して音を脳へ伝え、内耳にある前庭や三半規管は、身体の動きや頭の回転を感知して平衡感覚を保っています。
そのため、「聞こえにくい」「耳が詰まる」「耳鳴りがする」といった症状だけでなく、「めまい」も耳が関係していることがあります。
ただし、めまいには脳や血圧など、耳以外の原因もあります。 耳の症状やめまいが気になる場合は、自己判断せず耳鼻咽喉科へご相談ください。
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